ツキ板の貼り合わせのアドバイス

以前から、幅の広い(たとえば40pとか50cmなど)ツキ板の要望があります。
しかし、現在販売しているツキ板の幅で限界です。
実は、これでも製造元に無理言って規格外の25cmを作ってもらっています。(本来はもっと幅が狭い)

他の章と重複しますが、
家具などの製品はもっと幅の広いものにツキ板を貼ってありますが、ほとんどが20cm程度のツキ板を幅方向に貼り合わせています。
家具メーカーなどはツキ板を機械で貼りますので、上手に仕上っているだけであって、ほとんどの
場合が40pとか50cm幅の1枚モノのツキ板を貼っているわけではありません。
(一部例外あり。 下記の
参照)

ツキ板でも1枚の幅広のものを作ることが可能なものは一部あります。
それは、原木の直径が太い木でしたら可能です。(たとえば直径数mというような。 馴染みがある木材ではシナなど。 しかし、シナをわざわざツキ板にする価値がどれだけあるか疑問です。)
原木が太くならない木でしたら、最初から1枚の幅広のツキ板は作れないのです。

幅の広い1枚ものは、あとは「ツキ板貼りの合板」しかありません。
といっても、ツキ板貼りの合板もツキ板を幅方向に何枚も合板に貼りあわせているだけです。
ツキ板貼り合板も機械で貼っているので1枚板のように見える場合もありますが、それほどよく見なくても貼り合せてあることがわかります。  
また、ツキ板貼りの合板は、当然ですが合板ですので、カッターで簡単にカットして貼ることは出来ません。 

だったら、どうしたいいのか?‥‥ 

以下の方法を実行すれば、その悩みも消えるかもしれないですよ。


これを実行すれば「家具メーカー並み?」に貼れるという方法をアドバイスしたいと思います

貼り合わせようとするツキ板の端がこのように、
ケバ立っている場合があり、きれいにカットする必要があります。

また、ケバたっていなくても、貼り合わせる端同士の
切り口をそろえたほうがいいでしょう。

ただし、ツキ板の種類や製造ロットによって切り口が
きれいに揃っている場合があります。
状況に合わせて判断してください。

今回はセンに映像のような部分が一部ありましたのでこれをサンプルとして使用します。

貼り合わせるツキ板の端をそれぞれ単独でカッター
などで切ると、左の図のようになる場合があります。

図は拡大してわかりやすくした例であり、実際の
ツキ板の厚みは0.5oですので、切り口の面がこの
ように多少違っても無視できる誤差かもしれません。

しか〜し !!
今回は「家具メーカー並みの仕上げ」ということが前提ですので、切り口の誤差のほとんどでない方法で話を進めます。
まず最初にすることは、貼り合わせるツキ板同士の
木目の選択です。
少しでも貼り合わせの違和感をなくすようにするのなら
似たような木目同志を選ぶことが大切です。

互いの端を数cmずつ合わせます。

その真ん中をカットします。
長さがあるときは、カット中に2枚のツキ板がズレる
可能性がありますので、しっかり押さえつけながら、
カットしてください。

また、定規やあて木は長いサイズでないといけません。(定規などを、カット方向に何度も移動すると、ズレの原因になります)

それから、あまり刃を長く出すと曲がったり折れたり
します。  
刃は出来るだけ短かいほうがいいと思います。
なぜ、互いの板を合わせてカットするのが良いかと
いえば、たとえミスして斜めにカットしてしまったと
してもお互いの切り口は合います。

この方法は、切り口を揃えるのにとても有効な方法
です。


ここで、カットの際の注意ですが、2枚合わせると1oの厚みになります。 
当店のツキ板は固めの板が多いので、力を入れて
カットしないと、1回でカットできない場合があります。 カットできなかった部分をカットしなおすと切り口が
微妙に変わる恐れがあります
カットがすんだら、

まず、1枚目のツキ板を貼ります。

今回のようなつなぎ合わせの貼り方に限らず通常の
ケースでも、板に対して斜めに貼ってしまわない様に注意しましょう。


そうしないと、木目が斜めの作品になってしまいます。
2枚目を貼ります。

すでに貼ったツキ板に押し付けるように貼ります。
熱せられた接着剤は、柔軟性があります。
この状態のツキ板は多少は動きますので、貼りながらの微調整が可能です。
グリグリ押し付けてやってください。(笑)

板が熱で熱くなりますので、熱さ対策にタオルなどを
手に巻いておさえつければ、長くツキ板を押し付ける
ことが出来ます。
(他に熱対策があればもちろんOK)

先につなぎ合わせの近辺の接着をすべて終わらせ、その後に全体を熱するというのも方法のひとつだと
思います。
2枚貼り合わせました。

左右の木目が違いすぎるので、もう少し似たような
木目で検証したほうが良かったと、今になって後悔しています‥

場合によっては、貼り合わせの間から接着剤がはみ出ることがありますが、カッターやペーパーで簡単に
そぎ落とすことが出来ます。
 
(今回は、はみ出ませんでした)
貼り合わせた部分のアップ。

いかがですか?   隙間なく貼れているのがお分かりいただけると思います。

ニスなどの仕上げをしない方はここで終わりです。
あとは磨くなどしてください。

ニスで仕上げをする方が1番の心配になのは、
「継ぎ目のところがどのように仕上がるか?」という
ことだと思います。
「つなぎ目の部分に微妙に段差が出て目立つのではないか?」  「つなぎ目の部分が線状になって浮き出て見えないか?」 
といったことではないですか?
ということで、ニスで仕上げてみます。

ニスを塗る前に、軽くペーパーで磨きました。

着色ニスはホームセンターで手に入るものを使用。  油性で、色はオールナット

この映像は、2度塗りの状態です。
2度塗りの状態では、つなぎ目の木目が違うということ以外、違和感は見られません。

すでに成功は見えた?
結局、4度重ね塗りをしました。


やはりというか、塗り重ねることによっての貼りあわせ部分に変化は見られません。

これなら安心して重ね塗り出来ると思います。

こちらのショットは板に対し斜めにライトを当て、水平に近い角度から撮影しました。
わずかでも違和感があれば一番わかりやすい角度
です。

手前の木目の模様の凹凸がよく見るとわかると
思います。   
貼り合わせの部分がいかにフラットなのかお分かり
いただけると思います。


※下地処理、重ね塗りの映像は省略しました。


今回のポイント
貼り合わせる板の切り口を揃えるのが最大のポイントです。  
そのためには作業前にこれだけのことはあらかじめしておいてください。

@上から下まで一気にカットするために、長い定規やあて木を用意すること。

A余裕のある作業スペースを確保しておくこと。(大き目の下敷き、ボードなども用意)

B1回で裁断できるように(切り直しのない様に)カッターの刃は折って、新しい刃に
 しておくこと。
 (今回に限らず、カッターの刃は切れ味を第一に考え、数回カットしたら刃を折りましょう)

成功は「どれだけ下準備をしたか」で決まるといえます。  
それほど面倒でない下準備です。 ぜひ実行してください。


最後に‥
自慢することではありませんが、器用でもない私でもここまで出来ます。
だからといって絶対にうまくいくとは言い切りませんが、貼り合わせに不安を持っていた方は、けっこう不安が解消されたのではないでしょうか?

どうしても不安な方は、サンプルか購入したツキ板の裁断が終わって余ったツキ板で練習してみると
いいでしょう。
すぐにコツはつかめるはずなので、難しくないことがわかると思いますよ。(たぶん)



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